2022年3月2日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2308では
詩人・思想家吉本隆明の語り下ろし『真贋』から、次のことばが取り上げられています。
人を見る上でもっとも大事なことを挙げるとす
れば…その人の生きることのモチーフがど
こにあるかということのほうだと言える
吉本は、人間にとって大切なものは、例えば「誠実」のような多くの人が大切と思うもの
だろうけれど、実際にはそれになかなか近づくことが出来ない、でもどうして近づけない
のかということを考え続けることが重要で、それを人生のテーマあるいはモチーフと呼ぶ、
と語っているそうです。
私たち人間は、なかなか理想に近づくことが出来ません。でもそれで諦めてしまって、
近づく努力を放棄するのでは、堕落に向かうだけで、自分を向上させることにはなりま
せん。
だから、少しでも自分をあるべき姿に近づけたいと思ったら、なぜ近づけないのかを常に
考え続けることが必要でしょう。それが彼の言うところのテーマであり、モチーフで、
その人のそれを知ったら、どれほどの人物か分かる、ということなのでしょう。
私も勿論、理想やあるべき姿からは程遠い人間ですが、少なくとも、向上心や心を磨く
気概を持ち続けることが出来ればと、思っています。
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