2021年10月1日金曜日
「鷲田清一折々のことば」2147を読んで
2021年9月17日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2147では、
将棋棋士羽生善治の鳥海不二夫『強いAI・弱いAI』に収録された対談から、次のことばが
取り上げられています。
どうしてこの一手を指せないのか、考えない
のかという理由は、恐怖心や生存本能に基づ
いた判断であるケースがとても多い。
人は危機に敏感で、窮地に陥ることを恐れてこの手は選ばないということがよくあるが、
それに対して人工知能は、逆に恐れや不安がないので、人に指せない手を平気で指せる、
とこの歴戦の将棋棋士は言います。そして現在では、将棋の世界でAIが人を凌駕しようと
している現実があります。
確かに人工知能はどんどん発達して、特定の条件の下では、人の能力をはるかに超えよう
としています。それでこの頃は、近い将来AIが人間を支配、管理するようになることの
危険性や、人間の仕事がAIにとって代わられて、人間が失業することの恐れがよく取り
沙汰されます。
私は、機械技術の発展が、産業社会の高度化を生み出し、ことの善し悪しはさておき、
それに合わせて雇用も創出したように、人工知能の発達が一概に人間社会を脅かしたり、
雇用を奪ったりすることはない、と考えます。
でも、初期の工業化が労働者の搾取や公害を生み出したように、時々の技術発展に見
合う法整備や人間がその状況に適合するような環境整備が必要であると、思います。
例えばAIが発達したら、その能力を人間にとって有効かつ安全に活用するための、規範
を制定するというように。
つまり、結局は人間や自然環境に優しい、人工知能技術の開発が、求められるのでは
ないでしょうか?
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