2015年2月12日木曜日

私たちの店の、染め加工のポリシーについて

私たちの店は私の祖父の代に、広幅の白山紬を中心に商う、白生地の
専門店として産声を上げました。

当時は主に関西以西で、結納の時などの贈答に使用する家紋入りの
風呂敷用として、各巾の白山紬の白生地の需要が多くあり、
風呂敷という性格上、一枚づつを必要とする和装業界の顧客の
要望にも応えるために、カットして一枚単位から販売していました。

このような白生地の卸、切り売りの業態の店は、その当時は京都に
何軒かあったようです。

父の代になって、各種、各巾の絹の白生地に和装業界だけではなく、
工芸家や染色教室、洋装業界などから多様な需要が生まれて、
取り扱う生地のバリエーションが増えて行きました。

私の代になって、和装離れが顕著になり、染織などの工芸に興味を
持つ人も以前から比べてグッと少なくなり、それに伴い白生地の
需要も細って行きました。

そのような折、帯揚を白生地から一枚づつ、好みの色に染めて
もらえないかという要請がお客さまよりあり、それ以前にも着物用の
反物などを染屋さんに染めてもらうことはあったので、その方に
相談したところ時節柄引き受けて頂き、今日に至っています。

今ではそのような経緯で、好みの帯揚を一枚から求められる店という
イメージが定着していますが、ただ私たちは白生地の販売が原点
なので、染上り品を販売するのではなく、あくまで白生地をお好みの
色に誂え染めするということに、これからもこだわって行きたいと
思います。

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