2014年5月1日木曜日

京都国立近代美術館 FUTURE BEAUTY「日本ファッション:不連続の連続」を観て 1

この展覧会は、20世紀後期以降世界に注目された「日本ファッション」を、
日本人デザイナーの作品と映像や写真を通して顕彰する展覧会です。

私はファッションには明るくないので、果たして観に行く意味があるのか、
少々躊躇しましたが、その心配は全くの杞憂に終わりました。

とても内容の濃い、素晴らしい展覧会でした。私の感じたことを、数回に
渡ってお話しします。

この展覧会は四つのパートに分かれています。「陰影礼賛」「平面性」
「伝統と革新」「物語を紡ぐ」です。

まず、「陰影礼賛」からお話しします。

’80年代、川久保玲、山本耀司がパリ・ファッション界にデビュー、一躍
注目されますが、彼らが好んで使った色は黒でした。このパートには、
黒い服がずらっと並びます。

従来の欧米ファッションには、黒い服という概念がなかったそうです。
ところが、日本では、谷崎の「陰影礼賛」や水墨画というような、黒い
色彩に対する豊かな感受性がありました。また和装でいうと、黒留袖
が慶事に着用されるなど、黒い服への違和感も少なかったのでしょう。

我が国ではすんなり受け入れられるものが、ヨーロッパでは衝撃的である。
その事実がとても面白く感じられました。この時代日本人は、経済の
発展とともに、ファッションという文化領域においても、自信を深めたのでは
ないでしょうか。

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