2022年5月22日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2386では
能芸評論家・戸井田道三の『生きることに○×はない」から、次のことばが取り上げられて
います。
自分を知っていると考えるのは自惚にすぎま
せん。……自信は自分が何を知らないかとい
うかたちで知っていることです。
人は年をある程度重ねると、自分のことはよく分かっていると過信しがちですが、なるほど
本当は、分かっていないというのが現実でしょう。
まず何より、自分の姿を外からの視線で見ることが出来ません。鏡に映っているのは、虚像
であって、真実の姿ではありません。なぜなら、見る時の気分次第で見え方が違うのです
から。
これに限らず、自分がこういう性格だ、こういう場合やシチュエーションなら、こういう
行動をしがちだ、ということなども、気分のバイアスがかかっているに違いありませんし、
自分の嗜好を知っているということも、往々に他人からの評価によるところが大きいと、
感じます。
だから、自分は自分のことを本当は知らないという認識に達することが、自分に自信を持つ
早道なのでしょう。
その上で謙虚に人の意見に耳を傾け、客観性に照らして思考を巡らせ、慎重に行動すること
が、自信を深めるために必要であると、感じます。
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