2020年8月10日月曜日

京都国立近代美術館「京のくらしー二十四節気を愉しむ」を観て

日本画、洋画、工芸の館蔵品を、二十四節気に区分して展示した展覧会です。

この美術館の、各分野の収蔵品の充実を改めて実感すると共に、日ごろ見慣れた
作品たちが、季節ごとにまとめられて並べられることによって、何か味わいを増す
とでもいうか、新たな趣を示すように、感じられました。

考えてみれば、日本の芸術品は、元来季節ごとに眺め、あるいは用いられるもので
あったので、その本来の鑑賞方法を思い出させてくれたのかも、知れません。

また、京都という土地が、各季節ごとの行事、見どころの豊富な場所なので、それ
ぞれに即して美術工芸品が生まれ、用いられたということでも、あるでしょう。

本展では、春夏秋冬の別に映像ディスプレイが設置され、この地の各季節の祭り
などの行事、風光明媚な名所を紹介する映像が流され、季節感を演出することに
よって、作品展示に華を添えています。その意味では、京都観光を凝縮したような、
展覧会でもあります。

さて、展覧会の内容も、大変に中身の濃いものですが、今回私は、料理や食材を
扱った日本画に注目しました。それというのも、従来美術館で鑑賞する日本画では、
あまりこのような画題の絵画は目立たないように感じるのですが、今日は何点か
印象に残る作品があったからです。

その筆頭は川端龍子「佳人好在」、これは南禅寺の有名京料理店・瓢亭の名物
朝粥が座敷で供される様子が描かれていて、京料理が味と共に、季節感、場の
雰囲気をも楽しむものであることが、情感を持って描き出されています。

その他にも、食材の新鮮さ、美しさを表す絵画や、簡素な料理の企まざる表現が
あって、日本画のプライベートな側面を、見る思いがしました。

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