2018年1月10日水曜日

改組新第4回「日展」を観て

恒例の「日展」を観て来ました。今年は京都市美術館の本館が改修中ということで、
京都市美術館別館、みやこめっせ、日図デザイン博物館で分散して開催されて
います。

その内、京都市美術館別館で展示されていた日本画部門は、画面の大きさの割
に鑑賞スペースが狭く、じっくりと観ていられないきらいがありましたが、中でも
潘星道の特選受賞作「TOUKEI」が、水墨調の力強い表現で、スピード感もあり、
異彩を放っていると感じました。

他にも村山春菜「巣箱を立つ日(720号室)」が日本画らしくはないけれど、斬新で
若々しく明るい表現、作者自身の巣立ちを感じさせる物語性もあり、面白いと感じ
ました。

何時ものように工芸美術部門の染色を中心に観ましたが、ベテラン、常連の作家
の慣れ親しんだ匂いを感じさせる作品、従来からの取り組みに新たな試みを加え
ようとする意欲を感じさせる作品に、「日展」を観ることの滋味を味わいました。

染色では、早瀬郁恵の特選受賞作「待宵」の抽象的な染色による造形表現の
上に、所々刺繍をワンポイントとして用いて、作品の表情に温か味や可憐さを付け
加えているのが新鮮で、楽しく感じました。

他には堀内晴美の京都新聞社賞受賞作「水田の譜」が、染色らしいみずみずしく、
リズミカルな色彩効果を活かして、水田の持つしなやかさ、豊かさを自在に表現
して、観る者を心地よい気分に浸らせてくれました。

兼先恵子の「惜別と狂乱の瞬」は、作者の常套手段の女性の手のクローズアップ
を用いながら、その表現法、屏風仕立ての方法にも工夫を凝らし、雅やかさと
女性の情念を同時に浮かび上がらせて、さすがと感じさせられました。

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