2016年7月2日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」446では、
俳優岸部一徳の次のことばが取り上げられています。
「あの俳優、知らないうちに見かけなくなったなあ」と言われるような
消え方をしたい。
存在感のある俳優の、役者としての美学といったところかも知れません。
この言葉を私自身に引き付けて考えると、私も今年とうとう還暦を迎える
ので、店のこれからということに、思いを巡らせました。
業界の厳しい環境や、決まった後継者がいないという現状からも、店を
末永く存続させて行ける保証はなにもありませんが、もし続けることが
可能ならば、そういえばあの頃はあんな店主がいたと、何かの拍子に
思い返してもらえる程度に、静かに退場出来るのが理想だと感じます。
でももちろん現実には、まだまだ老け込む歳ではなく、お客さまの
ご要望に答えられる間は、現役として全力で頑張りたいと思っていますが、
あくまで店としての信用を優先的に考えたいという意味で、こんな想いが
去来したのだと感じます。
いずれにしても、そんなことを考えてしまう年齢になったということでしょう。
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