2015年11月11日水曜日

鷲田清一「折々のことば」214を読んで

2015年11月6日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」214に
領家高子著小説「向島」から引いた、次のことばがあります。

 気持ちの素性さえ、しゃんとしてればいいんだ。

人の心は、とかくゆれ動くもの。ともすれば、あらぬ方向に流される恐れが
あります。

では、どういう心の指針を持って生きて行けばいいのか?前述のことばは、
母親の勝手気ままに振り回されたと嘆く若い芸者が、いっそ「決められた」
道を生きたいと訴えた時、女将が諭したことばだということです。

どのような道であっても、まず自分の意思で選ぶこと。そしてその想いに
沿った生き方をすること。女将はそう若い芸者に語ったのでしょう。

現実には人生は、そこを歩む者にとって重い手かせ足かせがはめられて
いたり、順調に見えて思わぬ障害が突然生起したり、知らず知らずの
うちに抜き差しならぬ事態に陥ったりするものです。あるいは、平穏な
日々の連続が、いつの間にか倦怠や不平に支配されてしまうこともある
でしょう。

そのような、誰にとっても計り知れない人生の道行きにあって、心の持ち方
こそ最後の命綱なのだと、私は感じます。最も、平常心の中にそれを保つ
ことが、きっと非常に難しいのでしょうけれど・・・

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