2024年3月8日付け朝日新聞朝刊「鷲田清一折々のことば」3021では
劇団「変態」の情報誌「IMAJU」(第81号)から、比較文学者西成彦の次の言葉が取り上げられています。
過去の古傷とともに生きる生き方を身に
つけるのが、老いるということだ。
確かに人は生きる上で、様々に心身を傷つけられ、それにじっと耐えて生きながらえてきたに違いあり
ません。
特に「弱者」という立場にある人は、なおそのような逆境に立たされる機会が多いと思われます。でも
ここで言うところの「弱者」は、何も特定の限られた人ではなく、逆に大多数の人が「弱者」で、それ
こそ「強者」こそがごく限られた一部の人でしょう。
このように考えると、大部分の人が心に傷を負い、それに耐えながら生きて、年老いていくことになり
ます。
でも傷つき耐えるということを、何もネガティブにだけ捉える必要は無いのではないでしょうか?
つまり、人にはこのような逆境に耐えて、自分の心が鍛えられていくという側面もあると、思うのです。
そのように古傷をうまく飼い慣らし、自分の心の糧として生きていく。そうすることが出来たら、自らが
「弱者」として被った悪意を再生産して、他者を「弱者」に仕立て上げることもせずにすむでしょう。
少なくとも私はそのようにありたいと、心がけていきたいと思います。
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