2024年7月26日金曜日

「鷲田清一折々のことば」3021を読んで

2024年3月8日付け朝日新聞朝刊「鷲田清一折々のことば」3021では 劇団「変態」の情報誌「IMAJU」(第81号)から、比較文学者西成彦の次の言葉が取り上げられています。    過去の古傷とともに生きる生き方を身に    つけるのが、老いるということだ。 確かに人は生きる上で、様々に心身を傷つけられ、それにじっと耐えて生きながらえてきたに違いあり ません。 特に「弱者」という立場にある人は、なおそのような逆境に立たされる機会が多いと思われます。でも ここで言うところの「弱者」は、何も特定の限られた人ではなく、逆に大多数の人が「弱者」で、それ こそ「強者」こそがごく限られた一部の人でしょう。 このように考えると、大部分の人が心に傷を負い、それに耐えながら生きて、年老いていくことになり ます。 でも傷つき耐えるということを、何もネガティブにだけ捉える必要は無いのではないでしょうか? つまり、人にはこのような逆境に耐えて、自分の心が鍛えられていくという側面もあると、思うのです。 そのように古傷をうまく飼い慣らし、自分の心の糧として生きていく。そうすることが出来たら、自らが 「弱者」として被った悪意を再生産して、他者を「弱者」に仕立て上げることもせずにすむでしょう。 少なくとも私はそのようにありたいと、心がけていきたいと思います。

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