2022年6月19日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」では
漫画家やなせたかしの『アンパンマンの遺書』から、次のことばが取り上げられています。
正義は或る日突然逆転する。
正義は信じがたい。
漫画家はアンパンマンの原点として、自らの軍隊生活と戦後の価値観の劇的な転換を体験して
感じた、上記のことばを挙げます。
確かに正義を振りかざす言説ほど、いかがわしいものはありません。例えば至近では、ウクラ
イナ侵攻を巡るロシアのプーチン大統領の主張など。
あるいは、近頃のネットの言論では、ロシアのウクライナ侵略の原因として、ロシアの立場を
支持する物言いを初め、コロナワクチンを巡っても、陰謀論が渦巻いています。
私たちは何が正しく、何が間違っているか、冷静に客観的に判別する目を持つことが必要で
しょう。そしてその際には、正義をかざすものはまず疑うべきでしょう。なぜなら、人は全能
の神ではなく、必ず誤るものだからです。
アンパンマンは完全無欠のヒーローではなく、敵役のバイキンマンも根っからの悪人ではあり
ません。それ故にアンパンマンは闇雲に正義を振りかざすのではなく、弱い人に寄り添い、
ひもじい人には、パンで出来た自らの顔をちぎって与えるという自己犠牲を厭わないのでしょ
う。
正義を疑うことは、今特に必要であると感じます。
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