2022年7月26日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2449では
随筆家白洲正子の『美の遍歴』から、装丁家・評論家青山二郎の次のことばが取り上げられて
います。
「人間は、思ったり、したり、できはしな
い」
白洲が青山に、「何々しようと思うけど、どうかしら」と訊いた時、帰ってきた答えだそうで
す。
色々な解釈があると思いますが、これに続くのが、ある老人が家の前にゴミを捨てられて困る
ので、そこに外灯を付け、美しい草花を植えたらぴたりと止んだ、という地方新聞の記事で、
それを読んだ白洲が思ったのが、「千の『思うこと』も、一つの小さな行為の前に、いかに
むなしいか」ということなので、思うことより行動すること、それもただ闇雲に阻止しようと
するのではなく、人の感性に訴えかけなければならない、ということでしょうか?
私は、思い続けることが物事の成就につながることもある、と思いますが、そこは美に魅せら
れた生涯を送った白洲正子のこと、この言葉の受け取り方は一般的なことではなく、美を巡る
行為の普遍性、共感力の強さを語っているように感じました。
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