2016年8月5日金曜日

京都芸術センター「感覚のあそび場ー岩崎貴宏x久門剛史」を観て

京都芸術センターで上記の展覧会を観て来ました。

同センターも私たちの龍池学区の京都国際マンガミュージアムと同じく、
旧番組小学校の明倫小学校跡地を利用した施設です。

歴史の降り積もった小学校の落ち着いた外観や、時が止まったかのような
重厚な内装のたたずまいが、先鋭的な芸術の発表の場として、いたずらに
刺激的ではない良い雰囲気を醸し出していると、感じました。

さて今展のテーマは、「鑑賞者の感覚を研ぎ澄ますインスタレーション」と
いうことで、岩崎の作品では<アウト・オブ・ディスオーダー(コラプス)>の
綿棒やモップなどの清掃用具を使って、極小のアイテムを構成して独特の
壮大な白い風景を眼前に現出している作品が、印象に残りました。

まるで宮崎駿の「風の谷のナウシカ」の中の、腐海に沈もうとしている
場所の光景のように、ありふれた微小な日用品を使って、この世ならぬ
世界が広がる様に、一面白色に覆われているので冷え冷えとするような、
また遥かな未来風景を眺めるような、独特の感覚を味わうことが出来ました。

久門作品では<Quantize #6>の和室空間を使ったインスタレーション、
日常に見慣れた和室に仕掛けられた光の明滅や障子の枠の微妙な傾きに
注意を集中していると、心地よい水音の中に突然発せられる不気味な異音が、
心を驚かせます。私たちが常日頃忘れがちな五感というものを、改めて
思い出させてくれました。

また<aftaer that>では、時計の針と鏡に覆われたミラーボールがほの明るい
壁面に特有の影を乱反射させ、永遠の時間の流れを体感するような、
あるいは宇宙空間をあてどなく浮遊するような、この世ならぬ感覚を味わい
ました。

猛暑の現実を一時忘れさせてくれる、心が軽やかになる展観でした。

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