2023年8月10日木曜日

「鷲田清一折々のことば」2751を読んで

2023年6月3日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2751では 神学、宗教学者・森本あんりの『不寛容論』から次のことばが取り上げられています。    寛容はちっとも美徳ではない 寛容とは元来、自分とは異なる信念の持ち主を「しぶしぶ認める」ことであり、相手にとって それは己の価値を見下されることに等しい、と森本は言います。 これは難しい。人は自分の価値観を他人に押し付けないために、自らが肝要であろうとする ものであると思います。そして私自身も、そのように自身に言い聞かせて、不寛容にならない ように心がけて来たと感じます。 でも言われるように、寛容な態度を受ける側にとっては、確かにそれは、相手に見下された ように受け取るかもしれません。 そこで森本は、自分は存外不寛容な人間だと認めるほうが、不寛容は認めないとするより、 人々が共存できる場は僅かに広がる、と回答します。 これは広がりを持つ逆転の発想です。自分の弱さ、至らなさを認めることによって心に余裕が 出来て、かえって人に自然に寛容な態度で接することが出来る。 このように自らの弱点を謙虚に見つめて、他者に接することが、本当の意味での不寛容を和ら げることになるのでしょう。 社会的に弱い立場の人々への多数派の接し方という意味でも、役に立つ態度だと思います。

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