2023年5月30日火曜日

「鷲田清一折々のことば」2660を読んで

2023年2月19日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2660では 18世紀の啓蒙思想家・ルソーの『エミール(中)』から、次のことばが取り上げられています。    人間を社会的にするのはかれの弱さだ。 そうです。きっと人間がもし弱みを持たない、絶対的な自信に包まれた存在であるなら、彼は 他人の助けなど求めないし、我が道を進むことを選ぶでしょう。 でも人間がそのような完璧な存在ではないから、社会性が生まれ、人類が発展して来たのも 間違いありません。弱いからこそつながり、助け合い、高度な文明を築き上げて来たのです。 ところが、複雑な社会化が成し遂げられた最近になって、私たち現代人は、個人的にも万能感 とでもいうような思い上がりの感覚に囚われて、全てのことを自ら1人で決定し、遂行している ような幻想に陥り勝ちになっているのではないでしょうか? これは、社会生活のあらゆる場面で、機械化や情報化がすすんで、表面的には自分が能動的に 係わりたいと考える多くのこが達成可能となり、必要とする情報が直ぐに入手出来るように なったことに起因すると思われますが、実際にはそれは社会生活全体の中のほんの上皮の部分 でのことに過ぎないのに、私たちは得てしてその感覚に囚われて、驕りの気分に浸されてしまう のだと思われます。 大切なことは、自分が弱い存在であることを自覚すること、その上で多くの人の助けによって 自分の生活が初めて成り立っていることを意識して、社会活動を営むことだと思われます。

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