2024年5月17日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」3088では
免疫学者・多田富雄の随筆集『独酌余滴』から、次の言葉が取り上げられています。
迷惑をかけたり、かけられたりしなが
ら、濃厚で味わい深い人間関係が作られ
てきたのだ。
鷲田の解説文にもあるように、私たちは小さいときから、親に人に迷惑を掛けない人間に
なりなさいと言われて育ちますが、人生経験で印象に残っているのは、人に迷惑を掛けた
失敗体験であることが多いように思われます。
それだけ私たちは失敗をする者であり、そのような失敗こそが、忘れがたく心に残るもの
なのでしょう。
また人に迷惑を掛けられたことも、その時は腹立たしいのですが、よほどの実害がないこ
とは、後々にはいい思い出になったり、その人の人となりを知るきっかけになったり、
するものです。
要するに、出来るだけ他人に迷惑を掛けないように心がけながら、でも往々に人は失敗す
るものだと達観して、ゆとりを持って物事に取り組み、また、他人に対しても失敗や迷惑
を掛けられたことを大目に見るような、寛容な心を持てれば、この世も生きやすいという
ことでしょう。
でも自分の失敗も、他人に迷惑を掛けられることもなかなか許せない。つくづく人間は、
業の深い生き物です。
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