2024年4月12日金曜日

「鷲田清一折々のことば」2931を読んで

2023年12月6日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2931では 女優倍賞千恵子の連載「あの時のわたし」(「暮らしの手帖」27号)から、次の言葉が取り上げられて います。    風が吹くと葉っぱの裏側が見える。これ    が好きです。 映画「寅さん」シリーズに出演するなど、その国民的女優がこのような言葉を発すると、心に響くもの があります。 女優業は常に脚光を浴びる華やかなもの。でも反面いつも多くの人の視線に晒されて、プライバシーを 犠牲にしなければならない、一般の人より遙かに不自由を感じなければならない職業でしょう。 そのようなプレッシャーをやり過ごすために、傲慢な態度に出たり、飲酒に逃避したり、海外に住居を 移したりする人も見受けられるようです。 でもこの女優は、普段の自分を出来るだけ目立たなくさせることで、平静を保って来たように推察され ます。 そして、出たのがこの言葉。周りに生かされているという自覚や、目配りが行き届いた姿勢、普段の 倍賞さんを実際には知りませんが、そうした謙虚さを、私はこの言葉から感じ取りました。 また、自然の些細な変化、物事の裏側やはかなさに想いを向けることは、私たち普通の人間にとっても、 大切なことだと思われます。さっと吹き抜ける涼風のような、爽やかさを感じさせる言葉でした。

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