2015年9月21日より、朝日新聞朝刊で夏目漱石「門」の105年ぶりの再連載が
始まりました。
この小説は、「三四郎」「それから」に続くいわゆる「前期三部作」の最後を
飾る作品ということで、「それから」の代助、三千代のその後を描いている
ようですが、私にとっては初めて読むことになります。
先の見えない混乱の中で終わった「それから」の主人公たちが、これから
どのような人生を送るのか、楽しみに読み進めて行きたいと思います。
また、印象に残った回には、このブログで感想を綴っていきたいと考えて
います。
さて第一回は、とても穏やかな場面の描写で始まります。本作の主人公
宗助が、ある秋の穏やかな好天に恵まれた日曜日、自宅の縁側でごろりと
寝転がって日向ぼっこをしています。障子の向こうでは彼の妻が
つつましやかに裁縫をしていて、何気ない拍子に、障子越しの会話が
始まります・・・
平日といえば目まぐるしく時が過ぎ去り、せっかくの休みといえども、何かを
していないと落ち着かない、二十一世紀の高度情報社会化したこの国に
生きる私にとっては、うらやましいような情景です。
また縁側から覗く空の様子の表現は、「それから」の同じような場面と比較
しても、主人公の心の状態を反映してか、悠揚迫らぬ雰囲気を醸し出して
いるようです。
しかし最後の方に来て、宗助にも心の憂いがあることがほのめかされます。
とにかく、おもむろに物語は始まりました。
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