2015年5月22日金曜日

京都文化博物館「今日に生きる琳派の美」を観て

2015年は、本阿弥光悦が徳川家康から鷹峯の地を拝領して400年ということで、
京都では琳派400年の様々な行事が開催されています。この展覧会はその一環
として、京都日本画家協会と京都工芸美術作家協会に所属する作家約200名が
「琳派」をキーワードに制作した新作を展示する合同展です。

「琳派」というと私たち京都人にとっては、誰もが知っているようで、いざそれを
定義するとなると、漠然としていてなかなか難しいように思われます。そこで
私なりの「琳派」に抱くイメージを言葉にしてみると、町人の美意識から生まれた、
時代を隔てて受け継がれる、装飾的で優れたデザイン性を持つ美術工芸潮流
ということになります。この基準から本展の出品作を観て行くと、興味深く感じ
られる部分が多くありました。

それはそれぞれの作家が、「琳派」というテーマをどのように捉えて制作して
いるかという部分です。私は大きく分けて三つの捉え方があるように感じました。
一つは金銀箔に花鳥風月という形としての「琳派」を踏襲しようとした作品。
二つ目はわれ関せずと日頃の作風通りを貫いた作品。三つ目は現代における
「琳派」の意味を自分に引き付けて考え、琳派的美意識と自らのそれを融合させ
ようと試みた作品。それぞれに優れた作品がありましたが、私にとって印象的な
作品は三つ目のものに多く見受けられました。

いずれにせよ、それぞれの作家が与えられた命題にどのように対応して制作
しているのかということは、恐らくその作家の創作姿勢や作風とも密接に関係して
いると想像されて、よく見慣れた作家の今まで知らなかった一面を垣間見るようで、
興味が尽きませんでした。

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