2014年1月28日火曜日

大島渚「KYOTO,MY MOTHER`S PLACE」を観て

大島渚没後一年にちなんで京都で初めて上映された、「KYOTO,MY
MOTHER'S PLACE」を京都文化博物館で観ました。

この映画は、大島渚がBBC英国放送協会の依頼で制作した、自らの
出自に係わる土地を題材としたドキュメンタリー映画で、その日一日
だけの上映でしたが、三回上映の予定が好評でさらに一回追加上映
され、どうにかその回に観ることができました。

大島の映画といえば、私は「戦場のメリークリスマス」が好きで、既存の
枠にとらわれない奔放な映画監督というイメージを持っていましたが、
その原点に濃密な京都体験があることに驚かされました。

ただ大島の京都体験は、第二次大戦の最中、父親の死去によって
明るい瀬戸内から、母の実家のある暗い因習に満ちた京都に移り住む
という特異なもので、この地を外と内からの目で見る複雑な体験が、
愛憎半ばする京都観を生み出したのかもしれません。

しかし、最終的に大島が母と京都を愛したこと、その美意識の根源が
この地によって育まれたことも見て取れました。

いずれにせよ、京都に住む私としては、自分たちの力で守るべきものと
変えていくべきものの輪郭が、おぼろげながら浮かび上がってくるような
心地がしました。

2014年1月25日土曜日

小田実「「難死」の思想」を読んで

小田実の本を遅ればせながら、初めて読みました。

小田実というと、私には”ベ平連”を率い行動する作家というイメージが
まず思い浮かびます。それで、本書を読むにあたり、その思想は最早
古びているのではないかという懸念が、脳裏をかすめました。

しかし、安倍政権の下、戦後レジームからの脱却が脚光を帯び始めて
いる今日、本書の中の小田の主張について、改めて思いをはせる
意味は充分にあると感じました。

小田は本書の中で、じぶんの生き方の芯になる思想として、平等と自決の
意識に基づき、「殺すな」の意志を堅持することをあげます。

私たちの生きる現代社会は複雑多様で、一つの価値観をもって、全ての
問題に正解を見出すことは出来ませんが、少なくとも一人一人の国民が
より良い社会を作るために、自分の頭で考え、自らの意見を持ち続ける
ことが必要なのではないかと、強く思いました。

2014年1月22日水曜日

仕事用の手提げバッグ

十年以上使っていた仕事用の手提げバッグが、とうとうダメに
なりました。

それを買った時分には、普通に町のカバン屋さんで見かけた
のですが、この頃はないんじゃないかと思っていたら、堺町通りの
土屋鞄製作所にあって、購入することができました。

私が仕事用のバッグに求めるのは、まず合成皮革ではな本革
であること。武骨でも耐久性があって、適度に持ち重りして手に
馴染むこと。なぜなら、そのバッグを携えて、お得意先、職先、
銀行、郵便局と、ほぼ毎日出かけるからです。何より信頼感と
存在感(どこかに、置き忘れないように)が第一!

写真は、左側が今までの
バッグ、右側が新しいバッグです。
きっと、私の文字通りよき右腕となるでしょう。

三浦清商店の商品も、お客さまにそのように感じていただける
ものであればと、願っております。

2014年1月19日日曜日

雪の朝です。

今年初めて、庭に雪がつもりました。

町屋の中にある小さな坪庭ですが、白いものがつもると表情が一変
します。あでやかなような、りんと静まるような・・・
特に、庭にある薄紅色の山茶花の花や、千両の小さい実とは相性がよく、
赤い花実が、汚れない純白に引き立てられて、可憐な表情をかもし出し
ます。

こういう時は思わず、寒さにこわばった寝起き顔がほころびます。
日ごろは、草引きや落ち葉拾いと、何かと手のかかる庭ですが、
その存在にあらためて感謝したい気持ちになります。

2014年1月15日水曜日

「日展京都展」を観て

今年も、日展京都展を観て来ました。

工芸美術部門の染色が、私の仕事と深いつながりがある
こともあり、毎年恒例の展覧会として楽しみにしています。

今年目に付いたのは、特選作品に受賞理由を記した説明書きが
ついていたこと。これを読めば、選考基準の輪郭がわかります。
特選の選考が、作者の成長を見守り、促すという目的でも行われて
いることが、おぼろげながら理解できました。

お目当ての染色作品は力作が並んでいましたが、私は、これらの
作品を観るとき、職業柄まず色彩と配色に目が引き付けられます。
三浦清商店のお客さまが、お誂え染めの色をお選びになるとき、
満足のできる選択をされるお手伝いが、たとえ少しでも出来ればと、
思っています。

2014年1月13日月曜日

「想像ラジオ」を読んで

今話題の、いとうせいこう「想像ラジオ」を読みました。

冒頭から、ノリの良いDJトークが流れて来ます。しかし、どこか
普通とは違う!それもそのはず、このラジオ放送は、東日本大
震災の大津波のために、高い樹上に取り残された男によって
発信されている、想像ラジオなのです。

DJアークと名乗るこの男は、歯切れの良い饒舌体で、これまでの
自らの人生を語り、リスナーとリスナーのやり取りをそつなく
つなぎ、その合間に、聴衆の心に染み入る名曲をかける。そして
その放送は、彼と同じように災害で亡くなり、彷徨う魂と魂を
結びつけ、勇気づけ、生者と死者の心を共鳴させるのです。

著者いとうせいこうは本書を通して、他者への共感がとかく薄れ
がちな今日の風潮の中で、被災を免れた大多数の日本人が、
震災の犠牲者や被災地に対して、ほんの少しの想像力を働かせる
ことが、災害後に傷ついた全ての人々の心を癒し、再び結び付ける
ためのきっかけとなるのではないかと、語っているのではないでしょうか。


2014年1月6日月曜日

映画 「利休にたずねよ」

映画 「利休にたずねよ」を観ました。

この映画は、利休に扮する十一代目市川海老蔵あっての
作品です。今は亡き十代目との最後の親子共演という
話題性とも相まって、当代の動を内に秘めた静、情念を
心の奥底に封じ込めたような演技には、鬼気迫るものが
ありました。
私のような和装業界に携わるものにとっては、利休の
お点前の所作や、その妻の立ち居振る舞いの優雅さ、
彼らが茶室の躙り口から室内に潜り入る時の衣擦れの
音に、和服の伝統的な美が存分に描かれていると思い
ました。
反面、映画のストーリーという部分では、利休の若き日の、
囚われ異国に送られてきた李朝の姫とのかなわぬ悲恋
が、ダイレクトに彼の「侘び茶」を形作る美意識に結び付く
という物語の運び方が、少し短絡的に感じました。

2014年1月5日日曜日

初詣

1月2日、伏見稲荷大社へ初詣に行って来ました。

すごい人でした!近くに並んでいる人が、連れ合いに、
この人ごみに並ぶことが初詣をしたという気分になる
のだと、言っていましたが、まさにそんなものかと、感じ
ました。
私が、お稲荷さんへ初詣に行くようになったのは、まず、
縁起物の「福かさね」が気に入ったこと。これは、守り矢
と絵馬、神域の杉の葉、稲穂、お多福の面などが重ねて
あって、盛りだくさんで、ご利益がありそうな気分がする
こと。去年は白い蛇を描いた絵馬がついたのを買った
ので、今年も白馬だけを描いた絵馬のついたのを買い
ました。
そして伏見稲荷のお正月の魅力は、なんといっても
新春気分に華やいだ本殿周辺の雰囲気と、一歩神域の
稲荷山の千本鳥居に足を踏み入れれば感じる荘厳な
趣きです。お山には、上古から炎が燃え続けている
ような沢山のロウソクが供えられたお社もあって、
育まれた伝統の重さ感じます。

2014年1月4日土曜日

ブログをはじめます

皆さんこんにちは!

三浦清商店店主 三浦剛司です。
今まで、パソコンが苦手で、会計ソフトなど必要最低限の
ものだけを使っていましたが、これではいけないと一念発起、
パソコン教室で初歩を習い始めたところ、自分でブログを
綴ってみたくなりました。
年も改まって、いよいよ始めてみようと思います。
このブログでは、私の体験した日々のことがらの中で、
楽しかったこと、感動したこと、癒されたことを中心に
とりとめもなく綴っていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。