2017年12月27日水曜日

鷲田清一「折々のことば」971を読んで

2017年12月24日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」971では
サンタクロースは本当にいるのかという少女の質問に、ニューヨーク・サン紙の
記者が社説で答えた『サンタクロースっているのでしょうか?』から、次のことばが
取り上げられています。

 サンタクロースがいなければ・・・・・・人間のあじわうよろこびは、ただ目にみえる
 もの、手でさわるもの・・・・・・だけになってしまうでしょう。

クリスマスイブに相応しい「折々のことば」です。もっとも私たちの国では一時、
クリスマスやサンタクロースが信仰とはまったく別の、商業主義的な空騒ぎに利用
されていましたが・・・。

でも我々のようなキリスト教の信仰がない者でも、クリスマスにサンタのプレゼントを
もらって目を輝かせている子供を見るのは楽しいことですし、幼い子供がサンタの
存在を信じていることを、好ましいと感じるのではないでしょうか?

人間は大人になるほどに、目に見えるものしか信じなくなる。目に見えないものは
絵空事と見なして、現実を生きるための役には立たないと考える。これは実用的な
学問が尊重されて、教養や文芸が軽視される風潮にも通じると思います。

しかし本来人間は目に見えないものから様々なものを汲み取り、細やかな情操を
養って来たのではないか?現実的なものの見方や功利主義的な考え方は、主に
市場経済の発展に伴って、後からついて来たもののようにも感じられます。

大人になってもせめてたまには、童心に帰って空想の世界に遊びたいなんて、
見果てぬ夢でしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿