2016年9月1日木曜日

鷲田清一「折々のことば」504を読んで

2016年8月30日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」504では、
京都・錦市場の漬物屋店主で著述家バッキー井上のコラム紙「昨日も今日も
お漬物」から次のことばが取り上げられています。

 どんどん安くなっていく新品ばかりを買い続けていくとどうなる。全部サラに
 買い換えたら残された私はどうなる。

例えば家電や自動車などの工業製品に代表されるけれども、私たちは新しい
ものがいいものだという感覚に毒されていないか?

また現在我々が暮らす日本のような、経済が成熟化して長期のデフレ傾向が
続き、その上に市場のグローバル化で、海外から安い品物が容易に入って
来る社会では、新しく買い換えると割安に買えるという現象も起こります。

それでは、どんどん新品に買い換える方が得なのか?でも何か虚しさが残り
ます。

その代表的なものが、手仕事による工芸品や文具。使い込めば使い込むほど
味や個性が出て、身や手になじみ愛着が増します。また、持ち物や身にまとう
ものによって、その人の人となりが現わされることもあります。

便利さや合理性だけではなく、ものそのものが持つ本来の価値を大事にする
暮らし。そちらの方が精神的にも、もっと豊かな生き方なのではないか?

このことばを読んで、そんなことを考えました。

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