2019年9月2日月曜日

清水寺「CONTACT つなぐ・むすぶ日本と世界のアート」を観て

ICOM京都大会2019の開催を記念して、小説家原田マハが総合プロデュースを
務め、1週間限定で開催される展覧会「CONTACT」を、早速清水寺に観に行き
ました。

早朝から発売の当日券が、午前10時30分に到着した時にはすでに売り切れて
いて、地元在住ということもあって、次回発売の30分前、午後1時にもう一度
行って、30分並んでようやく手に入れることが出来ました。

清水寺境内の会場は、日頃非公開の経堂と成就院、それぞれ安置されている
仏像、建物の造り、庭園が素晴らしく、その点では古刹の趣きを味わうことが出来
ました。

しかし肝心の展覧会は、私にとっては、期待が大きかっただけに何か物足りなく、
少し残念な思いで会場を後にしました。

その原因はまず、久しぶりに訪れた代表的な観光名所である、休日の清水寺
周辺が、多くの観光客でごった返してあまりに騒がしく、静かに美術を楽しむ環境
ではなかったことが第一に挙げられる、と思います。この点は、私の認識不足
でした。

次には、古い寺院建築故に観客を収容できるキャパシティが余りに小さく、おまけ
にネット等でこの企画を知った多くの鑑賞者が訪れたために、直ぐに収容限界を
超えたのだ、と感じられます。

展示されているのは、洋の東西を問わぬ、棟方志功、河井寛次郎、手塚治虫、
アンリ・マティス、オーギュスト・ロダンなど、著名26作家の作品。どれも原田マハ
が吟味しただけあって、じっくりと作品に向き合えばそれぞれに味わい深いもので
ある、と思われます。

しかし、会場の荘厳さに比べれば作品が小粒であるというか、印象が薄まっている
のは残念に感じられました。また、一番期待していた、宮沢賢治『雨ニモマケズ』
手帖が、会場内に設けられた展示スペース(茶室)の整理券が、すでに出尽くして
いるということで、観ることが出来なかったのも、大変残念でした。

その中で印象に残った作品は、まず川端康成の直筆原稿、端正な文字で推敲の
跡も生々しく、作家が小説を生み出す現場が見えるようでした。次に司馬江漢『
樹下騎馬人物図』掛け軸、黎明期の日本の西洋画が、薄暗い寺院の床の間によく
馴染んでいました。最後に飾り障子を配した棚に置かれた、小さなジャコメッティの
彫像、洋の東西を融合した美しさに感動しました。

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