2017年11月5日日曜日

「福岡伸一の動的平衡 「よく気がつきますか?」」を読んで

2017年10月26日付け朝日新聞朝刊、「福岡伸一の動的平衡」では
「よく気がつきますか?」と題して、子供の頃『ドリトル先生航海記』の一説に触発
されて、科学者を目指す者にとって、注意深い自然観察が何より大切であると
学んだことについて、記しています。

私も他でもない子供の時分、ドリトル先生シリーズが大好きで、ほとんど全巻読んだ
ことを覚えています。でも福岡のような高尚な問題意識もなく、漫然と読書をしていた
当時の私は、動物と会話出来るドリトル先生の姿にファンタジーとしての好ましさを
感じながらも、ただ空想の世界に遊んでいただけでした。

さてドリトル先生から福岡が感じ取った、注意深い自然観察という姿勢は、何も
科学者にとってだけ有用なものではなくて、私たちのような門外漢にとっても、効用
のあることだと思います。

例えば、庭や野外に佇んでいる時でも、ただぼんやりと辺りを眺めているだけでは
なく、ちょっと注意深く観察すると、草木の葉が季節によって様相を変えていたり、
花が咲き、実を付けていることに気づいたり、鳥や虫を思わぬところに発見したり、
空の雲の様子の刻々とした変化に見とれたりすることがあります。このようなことは、
一見私たちには何の利益ももたらさないように思われますが、でもこれらのことに
心を慰められ、くさくさしていた気分を変えることが出来るなら、それは十分に値打ち
のあることでしょう。

さらには私たちの日常の仕事や生活の場においても、人とコミュニケーションを
図ろうとする時などには、人間観察ということがかなり重要な意味を持つと、経験上
感じます。表情や話しぶり、所作などをじっくりと観察することは、相手が何を考え、
何を伝えたいのか、どんなことを望み、どうしてほしいのかを知るためには、欠くこと
が出来ないでしょう。

そういう観察の場合でも、福岡の説と同じように、観察者には動きを止めるような
冷静さ、注意深さが必要なのでしょう。

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