2017年4月18日火曜日

鷲田清一「折々のことば」727を読んで

2017年4月17日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」727では
作家村上龍の小説「ラブ&ポップ」から、次のことばが取り上げられています。

 理解し合えるはずだという前提に立つと、少しでも理解できないことがあった
 時に、事態はうまくいかなくなる

私たち日本人は、対話や議論の場で、往々にこういう弊に陥るのではないで
しょうか?

お互いが話せば分かり合えると思っているから、話が通じなかったり、議論が
かみ合わない時に、相手に非があると考えて気分を害したり、けんか腰になって
しまうことが、まま見受けられます。

これは私たちが、その場の話し相手のことを、どうしても狭い島国の同じような
環境に暮らす、同じような考え方の仲間内と考えがちで、相手がこちらの考え方を
理解出来ないなどとは、とても思い及ばないからに違いありません。

同様のことは、場の雰囲気を察するというような場面でも見受けられることで、
例えば相手がどのように考え、どのように振舞うかをあらかじめ推測して、その
場に相応しい対処が出来ることを、人の優れた能力として評価することがよく
有ります。

しかしこれは逆を返せば、そのような場で相手の考えを察することが出来ない
人物は、白眼視されたり、仲間はずれにされるということが起こるということも、
示しているのです。

ことは程度の問題でもありますが、いずれにしても私たちには、他者は個人として
独立した考え方を持つ存在であり、それぞれが違うものの見方を持っているのが
当たり前だという前提に立って、相手に対するように心掛けることが必要でしょう。

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