2017年4月17日月曜日

「京都国際写真祭2017」メイプルソープ展とムニョス展を観て

いよいよ、「KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2017」が始まりました。今年は
私たちの店でも公式ポスターを掲示して、このイベントを盛り上げようとしています。

さて私は早速手始めに、室町筋の帯地製造卸誉田屋源兵衛が会場になっている
ロバートメイプルソープ展と、イサベル・ムニョス展に向かいました。この建物は、
呉服問屋が軒を連ねる室町通り面しているので、私はしょっちゅう前を通るのですが、
中に入るのは初めてで、内部も堂々とした凝った作りで、なかなか趣きがありました。

まず入ってすぐの竹院の間で、メイプルソープ展を観ました。彼は余りにも有名な
アメリカの写真家。今展は国際的建築家ピーターマリーノのプライベートコレクション
からの展示ということで、この写真家から芸術的インスピレーションを得たという
建築家の審美眼を通した切り口に、期待が高まります。

さて展示作品は、建築家の好みということもあって、構成として洗練されたスキのない
ものが選りすぐられいるように感じましたが、花を写した作品も、人間の肉体の一部を
切り取った作品も、モノクロでありながらカラー作品以上の色彩感に富み、計算され
尽くした構図や光線の処理の仕方によって、部分を写し取りながら、それ自体で
完璧な造形物を眼前に提示しているようで、写真と言うには余りにも、鮮烈な印象を
受けました。

次に奥の建物黒蔵のムニョス展の会場へ向かいます。この建物は黒い壁面に一面を
覆われた塔を持つ、大変ユニークな形状の造りで、塔の中を上階に上がるためには、
狭い螺旋状の木製の階段を足元に注意しながら登らなければならず、ちょっとした
冒険気分が味わえます。その作りが展示作品の野性味ともマッチして、面白い効果を
表わしていました。

ムニョスはスペインを代表する女性写真家で、本展では一階展示場に霊長類の
家族の肖像を写した作品、二階や三階には、踊りやパフォーマンスで宗教的恍惚に
浸る人間の姿を写し取った作品が、展示されています。私が感銘を受けたのは
霊長類の肖像で、人間ほどの感情の発露方法は持ち合わせていないけれど、内から
自然と溢れ出て来る心の純粋さ、それでいてそこはかとなく漂うもの悲しさに、かえって
人間が文明化に伴って合わせ持つことになってしまった、深い罪業というものの存在を、
感じずにはいられませんでした。

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