2016年6月15日水曜日

鷲田清一「折々のことば」428を読んで

2016年6月14日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」428では、
NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」から、新人タイピストとしてやっと会社に
就職することが出来た主人公常子が、男性上司からも、先輩女子社員からも
まともに相手にしてもらえなくて、自ら買って出た残務をうつうつとこなしている
時に、老年の給仕さんから1個のキャラメルを手渡され、言われた次のことばが
取り上げられています。

  がんばる人にご褒美

このシーンを私もテレビで見て、何かほっとさせられました。

自分が果たしてこの会社でやっていけるのだろうかと、孤立無援で、絶望感に
囚われている時に、その会社を長く底辺から支える給仕さんからこんな風に
励まされたら、例え常子でなくても救われるでしょう。

戦前の会社の、圧倒的な男優位の社会で、職業婦人の悲哀をひしひしと感じ
させられている彼女に、そんな序列を超越したところにいる人から励ましの
言葉を掛けられるというのは、ある意味上司や先輩から上から目線で言葉がけ
されるより、ずっと心に響くと思います。

忘れられないシーンです。

さて人に褒められるというのは、誰にとっても嬉しいことで、私もしてもらって
嬉しいことは、こちらからも率先して人に示せたらと心掛けていますが、
ご褒美という点からいうと、概して自分へのご褒美という考え方は、自らを
甘やかす場合が多いと思い当たります。その点は自戒しなければと、そんな
ことも上記のことばから連想してしまいました。

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