2016年4月1日金曜日

夏目漱石「吾輩は猫である」の朝日新聞連載始まる

2016年4月1日付け朝日新聞朝刊から、いよいよ漱石没後100年を記念した
「吾輩は猫である」の連載がスタートしました。第1回では、以下の文章が私の
目にとまりました。

「掌の上で少し落ち付いて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの
見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。」

「吾輩は猫である。名前はまだない。・・・」で始まる名調子は余りにも有名で、
私などは漱石というと、まずこの作品を思い浮かべます。

そのくせ実際に読んだのは恐らく中学生ぐらいの時で、その時は猫が主人公と
いうある種メルヘンチックな物語に、何の屈託もなく、あたかも童話を読むような
調子で、ページを繰って行ったと記憶しています。

ストーリーはほとんど忘れてしまいましたが、そのリズミカルな文章の感触
だけが心に残っている、というような状態です。

それゆえ、また改めてこの小説を新聞連載で読むことに、初めて読むような
ワクワク感が伴うのですが、この小説のストーリー展開もさることながら、
私自身がこれまでの新聞連載で漱石作品を読み進めて来て、再び最初の
長編に立ち返るということも、この気分の高揚に大きく寄与しているように感じ
ます。

連載が始まる前の予告編で作家の森まゆみが語っていた、この小説は漱石に
とって執筆セラピーの意味があったかもしれない、という記述も頭に残っていて、
それ故の遊び心あふれるのびのびとした筆運び、また猫という自由気ままな
生き物から見た滑稽な人間の生態の描写を、これから楽しんで行きたいと思い
ます。

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