2015年12月20日日曜日

鷲田清一「折々のことば」253を読んで

2015年12月17日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」253に
作家山田稔の「八十二歳のガールフレンド」から引いた、次のことばが
あります。

 人は思い出されているかぎり、死なないのだ。思い出すとは、呼びもどす
 こと。

実は私は、それほど信心深くはありませんが、多少は霊魂の存在を信じて
います。

というのは今までに二度、私に目をかけて下さった方が亡くなった時に、
その事実はまだ知らされていないにも関わらず、二回とも丁度室内に
居たのですが、突然辺りが何とも言えないぬくもりと、かすかな温かい光に
包まれて、前方上方にけむりのようなもやもやしたものが、私を見守って
くれているような感覚を味わったことがあるからです。

それはあるいは、虫の知らせに近いものかも知れませんが、私は、亡くなった
方の私を思ってくださる気持ちの表れと、信じています。

同様に上述の経験とは、あの世に旅立った人と生きている者の立場は
逆転するにしても、亡くなった人を思い出し、話題にするということは、
今を生きる者の心の中に確実にその人が存在し続けている、ということで
しょう。

自分の体の血肉の一部となっているから、人はかけがえのない今は亡き人を
思い出すのに違いありません。

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