2016年12月12日月曜日

ギャラリーマロニエ「祈りー京都精華大学テキスタイルコース18人展」を観て

ギャラリーマロニエで開催された「祈り」展を観てきました。この展覧会は、
京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイルコースで鳥羽美花先生に
指導を受けた卒業生、在学生18人による型染の技法を用いた作品による
展覧会です。

出品者のうち、私たちの白生地を使用していただいている方も多く、また今回
その一人の学生さんからも熱心に誘って頂いたので、当日は楽しみにして
会場に向かいました。

まず型染と言っても多彩な形態の作品があり、その点も興味深く一点一点を
観て回りました。染色パネル、筒状のオブジェ、屏風、着物、布地を垂らした
展示物など。

さらには型染の表現方法も、伝統的ないわゆる型染らしい作品から、同じ
技法を使用しながらも一見型染とは思えないものまで、その多様さは同時に、
今回のテーマの「祈り」をいかに解釈して、それぞれの作者なりに表現を限定
された技法で実現しようという、若さ、気概のようなものが感じられて、好感を
持ちました。

このような若い表現者たちの作品を観ることは、染色に係わる人々を取り巻く
環境が大変厳しい状況の中で、意気消沈しがちな私たちに逆に勇気を与えて
くれると、一通り観終って感じました。

それぞれ力作ぞろいですが、私が特に感銘を受けたのは、この展覧会のチラシ
にも取り上げられている卒業生の賀門利誓さんの作品で、一点を除き厳密には
型染ではなく、小さく切った透明感のある生地を画面に幾重にも細かく、緻密に
貼りり重ねることによって、写真からイメージを得た図像を浮かび上がらせる
という作品です。

生地の光彩を放つ美しさ、何重にも重ねることによって生み出される時の堆積
のような感覚、記憶がポエジーに変わる瞬間を描き出しているようで、生地の
使い方という点でも、新鮮な驚きを覚えました。

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