2016年11月28日月曜日

鷲田清一「折々のことば」590を読んで

2016年11月27日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」590では
書店の立ち上げ、本売り場のプロデュースなどに携わる北田博充の
「これからの本屋」から、次のことばが取り上げられています。

 空想は現実の反対側にあるのではなく、空想の延長線上に現実がある。

一般の人々の本離れ、それに伴う本屋さんの受難が言われて久しくなって
来ました。新古書店の進出、携帯電話など電子通信機器の普及による
情報伝達手段や娯楽の変化、あるいは電子書籍の一般化など目新しい
情報コンテンツの発達。出版を巡る急激な環境変化は、それに携わる
人々に厳しい試練を与えているようです。

他方、和装業界に携わる私たちも、着物離れという日本人の風俗の変化、
伝統的な儀礼や儀式の急速な衰退に苦しめられています。

ただ単に取り扱っている商品が売れればいいと考えている訳ではないので、
出版人の自負ほど高尚ではないにしても、伝統によって醸成されて来た
日本人の美風に深く根ざしている私たちが扱う商品が、人びとにあまり
価値のあるものと見なされなくなることには、寂しさを覚えます。

自分たちの生活の糧のためだけではなく、日本の文化を守りたい、受け継ぎ、
残して行きたい、という思いは少なからず持っているつもりでいます。

ではどうすればいいのか?その答えが見つからないのが、不甲斐ない
現実ですが、上記のことばは、私を鼓舞してくれると、感じました。

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