2021年7月16日金曜日

「鷲田清一折々のことば」2078を読んで

2021年7月7日付け朝日新聞朝刊「鷲田清一折々のことば」2078では、コラムニスト小田嶋隆 の「通販生活」夏号への寄稿から、次のことばが取り上げられています。    われわれの人生にとって本当に必要な仕事の    半ば以上は、さして急を要さない不急の動作    のうちに内在しているものなのだ。 近頃はコロナ禍もあって、「不要不急」のことは後に回す、という趣旨の表現がしきりに 用いられていますが、このような考え方は緊急避難の策でしかなく、これを行政においても 基本に据えたために、国の姿は「ひどく貧寒」になったと、このコラムニストは述べてい ます。 確かに「不要不急」のこと以外に集中するというと、さも効率的で、無駄がないように感じ られますが、私たち人間の生活は、緊急ではないけれど、決して不要ではないことの積み重 ねによって、成り立っている部分も多いように、感じられます。 例えば人と人が顔を合わせて挨拶をしたり、コミュニケーションを図ることや、慣例として の儀式を行うために集まること、季節に合わせた設えを施し、時候に即して生活を整える ことなど。 これらのことは、即効性があり、合理的であるという意味では、無駄なことかも知れません が、それらを抜きにしては、人生は味気のないものになると、思われます。 同様に行政施策においても、私たちが長年培って来た含みや遊びを排除しては、大切なもの が失われて行くと、感じられます。

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