2021年7月9日金曜日

「鷲田清一折々のことば」2073を読んで

2021年7月2日付け朝日新聞朝刊「鷲田清一折々のことば」2073では、作家・クリエーター いとうせいこうの『「国境なき医師団」を見に行く」』から、次のことばを取り上げてい ます。    「たまたま彼らだった私」と「たまたま私で    あった彼ら」という観点こそが、人間という    集団をここまで生かしてきたのだ 異国からの難民を救援するギリシャの「国境なき医師団」の活動を取材した筆者は、難民 として祖国を追われた人々を見て、状況が少しずれれば自分がこの立場だったかもしれ ないと思い知らされます。 人は、ついつい自分の生きている社会状況や、置かれた立場を基準として、ものを考え がちです。国際的に恵まれた環境に暮らしている私たちは、人々が平和な状態で暮らして いることを、当たり前と考えがちです。 でも世界に目を向ければ、紛争によって生命を脅かされたり、政情不安によって経済的に 行き詰まり、やむを得ず祖国を脱出しなければならない人が、今なお多数存在します。 自分自身は例え恵まれた国に暮らしていても、それらの人々の窮状に目を向け、自分が その立場ならと想像力を働かせること。それこそが人類社会の倫理を担って来たのだと、 筆者は訴えます。 考えてみれば私たちが、ある意味人権意識や社会的平等という考え方に対して無頓着なの は、旧弊に縛られていたり、想像力の欠如によるところが大きいと、思われます。 国際的な視座に立ち、世界の中の一員として自分たちを見つめ直すことも、今必要とされ ることであると、この文章を読んで感じました。

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