2020年4月20日月曜日

鷲田清一「折々のことば」1783を読んで

2020年4月10日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1783では
文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースの『神話と意味』から、次のことばが取り上げ
られています。

   人間のもつ多様な知的能力をすべて同時に開
   発することはできません。・・・・・どの部分を用
   いるかは文化によって異なります。

なるほど、民族、生活環境の違いによるそれぞれの特性の相違は、多分に上記のことば
のような要素から生まれているのでしょう。そういわれれば、腑に落ちる気がします。

アフリカで誕生した人類は、そこにとどまるもの、そこを離れ、それぞれに地球上の様々
な土地を巡って定住の地を定める過程で、自身の知的能力の可能性から、最も適した
能力に磨きをかけて、現在の容貌、気質、国民性などを獲得したのでしょう。

そのように考えると、国際関係においても、世界の各国民が互いを完全に理解すること
は難しくても、いずれはそれぞれの長所を尊重し、短所を補完し合う関係を築くことが
出来る可能性があるようにも、感じられます。いや少なくとも、どの民族が優れていて、
どの民族が劣っているという、不毛な議論から解放されることは出来るでしょう。

また、一つの民族、一国の国民の中でも、地位や職業、経済状態の違いによって互いに
優劣を付けるという評価基準も、上記の考え方に従えば、あまり意味がないと思われて
来るに違いありません。

人間という本来知的で、柔軟な思考力、適応力を持つ存在の未来への可能性は、無限
にあると信じたくなる、ことばです。

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