2016年10月19日水曜日

「テゾメヤ蓄音機night」第1回に参加して

10月16日に、京都の天然色工房手染メ屋店主、青木さん主催のクレデンザ
蓄音機でSPレコードを聴く集いに行って来ました。

クレデンザは90年余り前にビクター社によって製造された、知る人ぞ知る伝説の
蓄音機で、この方面の知識に乏しい私は、蓄音機と聞くとターンテーブルの上に
ラッパの様なホーンが取り付けられた単純な機器を想像してしまいましたが、
実際に目の前にするこの蓄音機は小さな家具ぐらいの大きさがあり、上部の蓋を
開けてターンテーブルにレコードを乗せる本格的な造りで、まず驚かされました。

青木さんの所有品ですが、普段京都市役所前付近の月読(つくよみ)というバーに
預けられていて、当日もそのバーでこの催しが開かれました。

蓄音機の操作方法については、一回レコードを掛ける度に一々ぜんまいを巻き、
そのレコードに相応しい針の太さを吟味しながら、前に使用したレコード針を捨てて
新しい針に交換することなど、あるいは青木さんがわざわざ分解して構造を説明して
下さった時には、その手工業品らしい精巧な造りに、すっかり感心させられました。

さて当夜は、この蓄音機でフラメンコのSPレコードを聴こうということで、青木さんの
スペイン在住のお父さまに来ていただいて、レコードを聴きながら解説をして頂き
ました。

お父さまによると、フラメンコというと日本ではまずその情熱的なダンスを思い
浮かべますが、実は本来は唄が中心で、唄をベースにして、踊り、ギター演奏が
成り立っているということで、遠いこの国でフラメンコが支持されている理由として、
まずおもむろに安木節のレコードが掛けられました。

すると、恐らく歌唱法は違うのでしょうが、安木節と以降に流れるフラメンコの唄
には長く培われた伝統的な民族の情念を体現するという意味で、驚くほどの
共通点がありました。この導入からすっかりフラメンコに引き込まれて、満ち足りた
時間を過ごすことが出来ました。

その至福の音楽体験を助けてくれたのは、他でもないクレデンザという蓄音機で、
電気を介さず肉声が直接に発する空気の震えが直に伝わって来て、目を閉じると
まるで目の前で伝説のフラメンコ歌手が歌っているような、錯覚を覚えました。

青木さんのお蔭で、すっかりフラメンコファンになってしまいました。

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