2016年8月26日金曜日

鷲田清一「折々のことば」499を読んで

2016年8月25日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」499には
京都の老舗の旅館の女将の次のことばが取り上げられています。

 礼は、頭を下げるときでなく顔を上げるときこそ丁寧に。

このことばは無論、何かの団体が不祥事を起こした時に、その責任者が謝罪
するに当たり、腰から上の上半身を一体何十度の角度に傾けて、頭を下げ
なければならないかという類の、マニュアル的言葉ではありません。

大切なことは、こちらがへりくだるということよりも、いかに相手をおもんばかるか
ということでしょう。なぜなら先方のことを思いやるなら、自然に顔を上げる仕草が
丁重になると、思うからです。

私も常々、お客さまの来店時のご挨拶は、当店にわざわざ足を運んで頂いたと
いう感謝の気持ちを持って、頭を下げるように心がけています。そうすると、
お客さまは土間に立っておられ、こちらは畳の上に座しているので、おのずから
畳に両手をついてお迎えをすることになります。それが自然なご挨拶だと、日々
感じています。

またお客さまが用事を済ませて帰られる時には、どのタイミングで、どんな表情、
仕草でご挨拶するかを、大切なことと考えています。その時、今回のご来店で
商品、接客に満足いただけたかどうかということを、相手さまの答礼の様子から
斟酌して、これからの参考にさせて頂くことは、言うまでもありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿