2016年8月7日日曜日

鷲田清一「折々のことば」479を読んで

2016年8月5日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」479では、
「コムデギャルソン」の布地職人松下弘へのインタビューから、次のことばが
取り上げられています。

 一番困っている産地にこそ、いままでにはないなにかが眠っているはず
 なんです。

最早他人事としては聞いていられません。京都丹後地方の呉服用の
絹反物の生産量は最盛期の二十分の一、先日も父の代より取引していた
絹広幅の織屋が廃業しました。

この産地でも絹糸の改良や希少な品種の使用など、色々な模索は行われて
います。また呉服や服地用だけではなく、用途の拡大や、例えば白生地を
肌触りのよい手ぬぐいとして用いるなどの素材としての活用の試みも、
なされています。

しかしいかんともし難いスピードで、絹離れは進んでいるように実感されます。

私たちの店でも、この現状を少しでも変えられないものかと、日夜思考して
います。ただ別誂えの帯揚げが多くの方に支持されていることや、
つまみ細工用として4匁羽二重の白生地を求められるお客さまが多数
おられることは、手軽なものであれば絹製品を購入したいと考え、あるいは
その光沢や手触りに魅力を感じている方が確実に存在することを、示して
いるといえるでしょう。

この兆候をよりどころに、私たちも逆境からの反発力を発揮したいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿