2014年3月17日月曜日

ウィリアム・ケントリッジ「時間の抵抗」を体験して

ケントリッジの作品を観るのは、2009年ごろ、京都国立近代美術館で
開催された大規模な個展以来です。

今回の作品は、四角い会場の三方の壁面に、5面のスクリーンを配して
映像を投影し、様々な場所に取り付けられたスピーカーから音響を流し、
会場内やや後方に、規則的な作動音を発しながら、連続的だがトリッキー
な動きを示す木製の装置を設置し、観客は会場中央付近に、おのおの
ばらばらの方向に置かれた椅子に座って、視覚、聴覚を動員して観賞する
大規模な映像インスタレーション作品です。

この作品は解説によると、時間というものの意味を求める人間と、定義される
ことを拒む時間そのもの、また人間が定義した時間の規則や、拘束から
逃れようと抗う人間を表現しているということです。

難しいことは分かりませんが、作品を観終えて感じたのは、人間が時間に
縛られない牧歌的な時代から、文明の利便性の増進とともに時間に
拘束されるようになり、しかしそんな現代においても、何かに熱中し、
感動や充足感に包まれている時には、人間は時の支配から逃れている
という当たり前の事実でした。

時の経過を忘れられる体験を、少しでも多く持ちたいと思います。

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