2014年3月14日金曜日

誂え染めの黒喪服

久々に、まとまった誂え染めの喪服の注文をお受けしました。

喪服といえば黒色で、黒はすべて同じ色のようなイメージがありますが、
色は黒に始まり、黒に終わるとも言われるように、煮黒、紅下黒、藍下黒
泥染め、引き黒など、様々な染色技法があります。

それぞれ色が微妙に違って、着物に仕立て上がった時の雰囲気もかわります。
たいした違いはないんじゃないの、と思われそうですが、喪服を着る場では
皆が一斉に着用するので、意外と色の違いが際立つものなのです。

そのような理由で私は、誂え染めの喪服のご注文をお受けした時には、
藍下黒染めをお勧めしています。藍下黒は、白生地をまず藍色に染めて、
それから黒色に染める技法で、通常よりひと手間余分にかかりますが、
藍色と黒色が重なって、さえて深みのある黒になるからです。

わずかな色の違いを比較したり、楽しんだりするのも、私たち日本人
ならではの繊細な美意識なのかもしれません。

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