2014年3月10日月曜日

滋賀県立近代美術館「幻想の画家ダリとフランス近代絵画の巨匠たち」展を観て

福島県裏磐梯にある、諸橋近代美術館所蔵のフランス近代絵画の
巨匠たちの作品と、特に同館の誇る、サルバドール・ダリの絵画、
版画、彫刻を展観する美術展。

今回の私のお目当ては、これまで単独の版画作品ぐらいしか観た
ことのなかった、ダリの作品のまとまった展示でした。

彼の作品の全体を観終えて、解かりやすい造形で、明確な色彩を
使い、それでいて、絵を構成する対象物の突拍子もない
組み合わせで、あり得ない世界を描き出す、そんなイメージを
持ちました。

しかもその作品は、観る者の心に荒唐無稽のストーリーを紡ぎ出し、
得も言われぬ余情を残します。

受け狙いのような俗っ化もたっぷりで、依頼を受けた女性の
肖像画の背景にも、何故か何の脈絡もなく、自分のトレードマークの
超現実的な風景を描き加えます。

結局ダリ作品の魅力は、奔放なイメージ喚起力と、それを見事に
造形化する力技、南欧らしいカラッとしてカラフルな色彩感覚で
あると感じました。

そしてそれらは、連綿と続くヨーロッパの芸術の歴史に、確かに
繋がっているのです。

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