2019年12月25日水曜日

改組新第6回「日展」京都展を観て

恒例の「日展」京都展を観て来ました。

来年には、京都市京セラ美術館がリニューアルオープンして、この歴史ある公募展
も本来の会場の同美術館に戻るので、京都市美術館別館で日本画、みやこめっせ
地下1階で工芸美術・書・彫刻、日図デザイン博物館で洋画、の分散開催は、今回が
最後になります。

まず今回は、日本画部門の会場から訪れました。会場に入って気づいたのは、営利
目的でなければ大部分の作品の写真撮影が可能になり、その画像をSNSにアップ
して、拡散することも認められるようになったことです。

更には、チラシや案内冊子を見ると、日展作家によるイベントとして、従来から行われ
ていた作品解説のみならず、それぞれの部門のワークショップも企画されていて、
従来の権威主義的なこの公募展のまとう性格を脱して、より広く一般の人々に、親し
みを持ってもらおうとする意図が、見えるように感じました。

さて実際に日本画の会場を巡ると、作品の大きさの割には会場が狭く、作品が観に
くい欠点は来年には改善されるので、目をつむるとして、全体的に出品作に作家が
従来の枠を破ろうとする意図はくみ取れるものの、その意欲が空回りしているきらい
がある作品がところどころに見受けられ、また審査する側も、その選考基準において
新しい感覚の作品をどのように評価したらいいか迷いがあるように感じられて、その
結果、展覧会の統一感が損なわれているように、見えました。まだまだ、改組後の
試行錯誤が続いている、ということでしょうか。

次に工芸美術部門の染色に目を向けると、こちらも日本画と同様の傾向は認められ
ますが、染色という加工工程上の制約もあって、あるいは日本画よりマイナーという
部分で、従来から比較的表現の自由度が高いように感じられるところもあって、その
雰囲気がより生かされて、多様性のある作品が見られるようになり、面白くなったよう
に感じました。

いずれにしても、かつての「日展」の看板作家、日本画では東山魁夷、高山辰雄、奥田
元宗、染色では佐野猛雄、皆川泰蔵、三浦景生は今は亡く、新しくこの団体をけん引
する人気作家が生まれることも、この公募展の盛り上がりのためには必要であると、
感じました。

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