2014年1月28日火曜日

大島渚「KYOTO,MY MOTHER`S PLACE」を観て

大島渚没後一年にちなんで京都で初めて上映された、「KYOTO,MY
MOTHER'S PLACE」を京都文化博物館で観ました。

この映画は、大島渚がBBC英国放送協会の依頼で制作した、自らの
出自に係わる土地を題材としたドキュメンタリー映画で、その日一日
だけの上映でしたが、三回上映の予定が好評でさらに一回追加上映
され、どうにかその回に観ることができました。

大島の映画といえば、私は「戦場のメリークリスマス」が好きで、既存の
枠にとらわれない奔放な映画監督というイメージを持っていましたが、
その原点に濃密な京都体験があることに驚かされました。

ただ大島の京都体験は、第二次大戦の最中、父親の死去によって
明るい瀬戸内から、母の実家のある暗い因習に満ちた京都に移り住む
という特異なもので、この地を外と内からの目で見る複雑な体験が、
愛憎半ばする京都観を生み出したのかもしれません。

しかし、最終的に大島が母と京都を愛したこと、その美意識の根源が
この地によって育まれたことも見て取れました。

いずれにせよ、京都に住む私としては、自分たちの力で守るべきものと
変えていくべきものの輪郭が、おぼろげながら浮かび上がってくるような
心地がしました。

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