2014年1月13日月曜日

「想像ラジオ」を読んで

今話題の、いとうせいこう「想像ラジオ」を読みました。

冒頭から、ノリの良いDJトークが流れて来ます。しかし、どこか
普通とは違う!それもそのはず、このラジオ放送は、東日本大
震災の大津波のために、高い樹上に取り残された男によって
発信されている、想像ラジオなのです。

DJアークと名乗るこの男は、歯切れの良い饒舌体で、これまでの
自らの人生を語り、リスナーとリスナーのやり取りをそつなく
つなぎ、その合間に、聴衆の心に染み入る名曲をかける。そして
その放送は、彼と同じように災害で亡くなり、彷徨う魂と魂を
結びつけ、勇気づけ、生者と死者の心を共鳴させるのです。

著者いとうせいこうは本書を通して、他者への共感がとかく薄れ
がちな今日の風潮の中で、被災を免れた大多数の日本人が、
震災の犠牲者や被災地に対して、ほんの少しの想像力を働かせる
ことが、災害後に傷ついた全ての人々の心を癒し、再び結び付ける
ためのきっかけとなるのではないかと、語っているのではないでしょうか。


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