2023年11月21日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2916では
哲学者和辻哲郎の『倫理学』から、次の言葉が取り上げられています。
人間の成り方、それを我々は「存在」と
いう概念によって現そうとする
和辻によると、個人は「もの」として何か実体のようにあるのではなく、さまざまな行為の連なりの
中にあるといいます。つまり、社会的生き物である人間は、単なる生物の個体と違って、生まれて
から現在に至るまでの、経歴や行為、思考の後によって特定されるべきである、ということでしょう
か?
確かに、私たちは他者をそのような尺度によって見定めますし、反対に他者からも、そのような尺度
によってどのような人間であるか見なされているのでしょう。
だから、人間は生まれてから固有名としての自分を形作るのであって、理想論を言えば、生まれた
環境によってあらかじめ優劣が付けられるべきではないのでしょうが、現実は生育環境によって人生
が規定される部分も大きいということでしょう。
それ故、恵まれた環境に生まれて能力を発揮する人よりも、恵まれない環境に生まれたにも関わらず、
逆境を乗り越えて能力を発揮する人の方が、更に尊いように感じられます。
少なくともこの社会が、人をその成し遂げたことによって評価出来る社会であってほしいと思います。
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