2021年3月2日火曜日
鷲田清一「折々のことば」2070を読んで
2021年2月1日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」2070では
作家・朝吹真理子とファッションデザイナー・黒河内真衣子との対談「創作の海 深く深く」
から、朝吹の次のことばが取り上げられています。
でも、自分より命が長い服もあってほし
い。
現代では、洋服というと何年か着て使い捨てというイメージがありますが、昔は長い間愛用
して、そのまま成長した子供に譲ったり、あるいは加工をして小さい子供用の服を作ると
いうことも、日常的に行われていたと記憶します。
特に私自身の思い出としては、父のズボンを母が加工して、子供用の半ズボンを作ってくれ
たものをよく着ていて、近所の大人の人にいつもおしゃれな服装をしているね、と言われた
ことを覚えています。
このように、服自体も耐久性のあるように作られ、それが長く着続けられるということは、
その存在に愛着が増して、心に余裕や豊かさをもたらしてくれるように感じます。ましてや、
限りある地球資源の持続的な利用の必要性が叫ばれている現在、ものを大切にして長く使う
ことは、必然性を持つことでもあります。
元来日本人には、和装というその服飾文化において、汚れたり着古した着物の洗い張り、染
め替えなどを行い、出来るだけ長く着続ける習慣がありました。勿論昔は、ものが有り余っ
てはおらず、機械化による大量生産が出来なかったという事情もあって、今とは単純に比較
出来る訳ではありませんが、私たちはものを大切にする習慣をもう一度思い起こすべきで
あると思います。
そうすることによって、私たちの精神文化は、今より格段に向上すると考えます。
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