2017年10月11日水曜日

出入りの大工さんの廃業を聞いて

先日出入りの大工さんが突然、廃業の挨拶にこられました。

事情を聞くとご本人は独身の上、介護の必要な高齢のお母さんと二人暮らしで、過日も
仕事に出ている時にお母さんが突然体調を崩されて、対処に困ったということで、
自身も60歳を過ぎ、大工仕事も年々減少しているので、このあたりで辞めて弟家族の
近くに引っ越し、助けを借りて介護をしながらアルバイトでもして、暮らそうと思っていると
いうことでした。

決断するために大工道具も手放しすっきりしたと、寂しそうに笑っておられました。

考えてみると、この大工さんとは先々代のおじいさんの代からの付き合いで、私たちの
店の古い町家のメンテナンスを一手に引き受けてもらって来ました。具体的には、家屋の
自然災害によって傷んだ箇所の修理、年月の経過によって老朽化した部分の補修、
風呂、台所、トイレの改修、それに伴う上下水道、電気工事の請負など、この大工さんは
関連の業者に対しても顔が広かったので、何でも安心して頼むことが出来ました。

そのような事情から寂しさを禁じえないと共に、これからどうすればよいかと不安も残り
ますが、知り合いの同業者を紹介していただけるということで、いざとなったらお願い
しようと思っています。

建築の業界も、個人的に仕事を請け負う零細な工務店が、仕事を続けることがだんだん
難しくなって、生き残るのはある程度以上の規模を持つ業者に集約されて行くのでしょう
が、長年の個人的な付き合いでこちらの事情を知り尽くし、些細な事も気軽にお願い
出来るこの大工さんのような方がいなくなることは、私たちにとっても大きな喪失であると
感じずにはいられません。

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