去る5月6日、京都文化博物館で、竹田武史写真展を観ました。
この写真展は、ヘッセの「シッダールタ」を熱愛する竹田が、作品の
舞台であるインド各地をオートバイで回って、撮影した写真を
展観する催しです。
まず本展では、「シッダールタ」に導かれた写真家が実際にその地に立って、
ヘッセが感得したものの上に自らの思いを重ねるように、丹念に被写体に
向き合っている姿勢が印象的でした。
では、ヘッセというフィルターを通して、竹田はどのようなインドを写し取った
のでしょうか?
私にはそれはまるで、白日夢のように感じられました。
そこには有無を言わさぬ圧倒的な存在感の自然が写し取られ、その中で
繰り返されている、けし粒のような人間、動物の神聖な営みが描き出されて
います。
聖なる河での人々の祈り、沐浴、火葬、あるいは、鳥についばまれる牛の
亡がら・・・
しかしそのすべてがあまりにも美しく、生々しさがなくて、まるで夢の世界の
ようです。
表面的にいやされたという部分は別にしても、その真実の姿を一体どのように
受け止めたらいいのか、正直戸惑いました。
このもやもやを解消するには、実際に「シッダールタ」を読んでみるしか、
仕方がないのかもしれません。
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