2023年1月24日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2625では
随想「京ことば都がたり」(「和楽」2・3月号)から、彬子女王が語った、次の京ことばが
取り上げられています。
むしやしない
このことばは、「虫養い」とも書き、お腹が減った時に腹の中の虫が騒ぎ出すので、少し
食べ物を与えて一時しのぎする、という意味で使われます。私も京都で育ったので、子供の
頃には父母が使うのを聞いた覚えがあります。
このことばが興味深いのは、お腹が減ることを、本人の肉体の生理反応と考えないで、腹の
虫という自分ではままならない存在が、勝手に暴れ出すと見なすことで、つまり自身の肉体
も本人の思いのままに制御出来るものではないということを、上手く言い表していること
です。
確かに私たちは、元来このような叡智というか、自覚を持っていたのでしょう。でもこの頃
では、社会が便利になるに従って、何もかも自分の思い通りになると思い込んでしまって、
逆に自身の肉体さえ意のままにならないと気づいた時には、ショックを受けてしますように
思われます。
もっと謙虚になって、自分の中の自然の声に耳を傾けられるように、なりたいものです。
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