2015年4月1日より、朝日新聞朝刊に夏目漱石「それから」の106年ぶり
連載がいよいよ始まりました。
同じ漱石作品でも、私にとって「こころ」は、一度本で読んだ作品を
新聞連載でもう一度味わうことになり、一方「三四郎」はこの連載で
初めて読んだので、読書体験という意味でも、それぞれに違う趣が
ありました。
他方「それから」は、まだ読んだことはないのですが、もう30年ほど前
森田芳光監督のこの小説を原作とする映画を観て、今でも忘れがたい
印象が残っているので、そのイメージと実際の小説がどのように
違うのか、ということにも留意しながら、読み進めていきたいと思います。
連載の第一回を読むと、主人公長井大助は神経質なところもありますが、
自分の容姿にずいぶん自信を持つ、ナルシストの男と見受けられます。
また物語の導入部は、何やら滑稽味があり、のんきで楽し気な話の
進み行きが想像されます。
それに対して森田監督の「それから」では、主人公大助を演じる俳優が
あの松田優作で、高等遊民という大助の気楽な立場の設定にも
かかわらず、のっけからまるで大きな罪を抱えた悩める男という雰囲気を
醸していたように記憶しています。
そのあたりのニュアンスの違いも、これからの展開をいよいよ楽しみに
してくれそうです。
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