2021年12月16日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2234では
フランスの哲学者ミッシェル・セールの『五感』から、次のことばが取り上げられています。
唇のまわりに、文化が横たわっている。
考えるとは、ものごとを吟味すること、つまり味わい分けることで、そもそもホモ・サピエンス
は、語源をたどれば「味わう人」を意味するそうです。
このことは、浅学にして知りませんでしたが、確かに人間の五感の中でも、味覚は視覚と共に
最も日常生活の中で、自覚的に働いている感覚であるように感じられます。
そして視覚は、目の前の情景が意識しなくても、勝手に眼球の中に飛び込んでくるのに対して、
味覚は私たちが意識的に口に運んだものを味わうという点で、能動的な感覚であると、感じ
ます。
だからそれだけ、危険なものを飲み込まないためにも、慎重な善悪、良否の判断を要求される
感覚であると思います。そしてそれ故に、味わうことは考えることなのだと、この文章を読んで
感じました。
我々は仕事や、日々の暮らしの中で、ついつい直感的に、あるいは先入観や惰性で、ものごとの
善し悪しや、些細な決定事項を判断することがあり、その結果後で考えると、もっと良い評価や
選択の方法があったのではないかと、自省させられることがあります。
そういう点でも、ものを口に入れて味わうように、いつも慎重に物事を評価、判断することが
必要であると、反省させられました。
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